Enoの音楽日記

人生、何があっても、音楽を聴くと、自分を取り戻します。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小川典子のドビュッシー「12の練習曲」

ピアニストの小川典子は、エッセイも巧みだ。そのエッセイ集「夢はピアノとともに」(時事通信社、2008年)を読んでいたら、次のような一節があった。 「現在の私は、ドビュッシーがピアノ曲としては最後に書き上げた『練習曲集』に取り組んでいる。晩年のド…

大岡昇平「武蔵野夫人」

大岡昇平(1909‐1988)の「野火」(1952)を読み、文学らしい文学を読んだと感銘を受けたわたしは、引き続き「俘虜記」(1949)と「花影」(1961)を読んだ。隔月でわたしと読書会を開いている友人にその話をすると、友人は7月の読書会のテーマに「武蔵野夫…

新常態のオーケストラ

各オーケストラが演奏活動を再開しているが、客席は前後左右を空けているので、最大でも定員の半分しか入らない。わたしのような聴衆には、コロナ禍でないと味わえない贅沢なのだが、オーケストラの経営者には厳しい条件だろう。いったいぜんたい、それでも…

ヴィトマンのオラトリオ「箱舟」

7月4日に予定されていたイェルク・ヴィトマン(1973‐)のオラトリオ「箱舟」(2017)の日本初演は、コロナ禍のために中止になったが、どんな曲なのか、気になるので、ナクソス・ミュージックライブラリー(以下「NML」)で聴いてみた。ハンブルクでの世界初…

広上淳一/日本フィル

各オーケストラが演奏会を再開(一部は予定)しているが、その方式には少しずつ違いがある。7月10日に定期演奏会を再開した日本フィルは、当初予定のプログラムのうちの1曲をカットして、休憩なしの約1時間とし(それは今では一般的だが)、指揮者の広上淳一…

METライブビューイング「アグリッピーナ」

ヘンデルのオペラは好きなので、外国に行った折に、機会があると観ていたが、「アグリッピーナ」は観たことがなかった。そこで今回のMETライブビューイングを楽しみにしていた。さすがにMETというか、歌手の力量、演出の冴え、オーケストラの躍動感、三拍子…

大岡昇平「花影」

大岡昇平(1909‐1988)の「野火」(1952)と「俘虜記」(1949)を読んだわたしは、もう一作読んでみようと思ったが、では、どれにしようかと迷っていたとき、吉田秀和の次のような文章を目にした。 「私は大岡さんの小説では、『俘虜記』『野火』『レイテ戦…

METライブビューイング「ポーギ―とベス」(2)

(承前)次に印象に残った歌手を何人かあげると、まずポーギーを歌ったエリック・オーウェンズが圧倒的だった。深みのある堂々とした声だ。METでは他にワーグナーの「リング」チクルスでアルベリッヒを歌っている。愚直にベスを愛し続けるポーギーと、愛を断…

METライブビューイング「ポーギ―とベス」(1)

METライブビューイングの「ポーギ―とベス」はぜひ観たかったが、4月上旬の上映のときは新型コロナウイルスの感染拡大の真最中だったので、やむを得ず見送った。ところがこの度、追加上映が行われたので、無事に観ることができた。 映像は2月1日の公演のもの…