2022-01-01から1年間の記事一覧
2022年はどんな年だったろう。激動する社会情勢はわたしが書くまでもないので、音楽に絞ってこの一年を回顧したい。日記もなにも見ずに、じっと目を閉じたときに、心に浮かぶもの。それがわたしの得たものだ。 まず思い出すのは新国立劇場の新制作「ペレアス…
国立西洋美術館で「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が開かれている。ベルクグリューン美術館はベルリンのシャルロッテンブルク宮殿の正面側の向かいの建物にある。現在改修工事中なので、所蔵作品の引越し展が実現した。 展示作品…
2021年ジュネーヴ国際音楽コンクールのチェロ部門で優勝した上野通明(うえの・みちあき)がB→Cコンサートに出演した。曲目はすべて無伴奏チェロ曲だ。 1曲目はジョン・タヴナー(1944‐2013)の「トリノス」。わたしには未知の作曲家だが、石川亮子氏のプロ…
演劇「夜明けの寄り鯨」を観た。作は横山拓也、演出は大澤遊。ともに40代の方のようだ。新国立劇場の演劇部門が今シーズン立ち上げた【未来につなぐもの】というタイトル=コンセプトの企画の第二作に当たる。第一作は去る11月に上演した「私の一ヶ月」(作…
ヴァイグレ指揮読響の定期演奏会は、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番(第1番ではない)とタネーエフの交響曲第4番という渋いプログラムだった。集客は難しいだろうと思ったら、チケットは早々に完売になった。ソリストの反田恭平人気らしい。 反田恭平…
巷ではティーレマン指揮シュターツカペレ・ベルリンの来日公演が評判になっているが、一方では下野竜也指揮日本フィルが、外国オーケストラの来日公演では組めないプログラムを組んだ。 プログラム前半は、ジェラルド・フィンジ(1901‐1956)の「入祭唱」、…
ファビオ・ルイージ指揮N響の12月の定期Aプロは、さりげなく生まれた名演だ。曲目はワーグナーの「ヴェーゼンドンクの5つの詩」(メゾ・ソプラノ独唱は藤村実穂子)とブルックナーの交響曲第2番(初稿/1872年)。 藤村実穂子の独唱で感銘を受けたのは、言葉…
「土を喰らう十二ヵ月」をみた。とてもよかった。あちこちで紹介されている映画なので、あらすじを書くまでもないだろうが、一応書いておくと、信州の古民家に初老の作家の「ツトム」が住んでいる。妻は13年前に亡くなった。ツトムの家には時々担当編集者の…
ノット&東響の比較的地味なプログラムの定期演奏会だったが、満足度は大きかった。1曲目はシューマンの「マンフレッド」序曲。ヴィブラートが控えめで、クリアーな音が鳴った。他の方のツイッターを見ると、スダーンのころの音が残っていると書いている人が…
新国立劇場の新制作「ボリス・ゴドゥノフ」。会場入り口でもらった「あらすじ」に目を通すと、原作をかなり変えているようだ。ボリス・ゴドゥノフの息子フョードルを重度の障害児と設定した点をはじめ、ディテールで変えている点がかなりある(もちろん基本…
ロシアに住むラザレフが(たしかモスクワ在住だったと思う)、ロシアのウクライナ侵攻以来、来日が難しくなっている。その代役に世界的なオーボエ奏者のフランソワ・ルルーが立った。オーボエの腕前はトップクラスだが、指揮はどうかというのが興味の的だ。 …
井上道義指揮N響のAプロ。1曲目は伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」。第1楽章冒頭のずっしりと重い旋律がショスタコーヴィチのように聴こえた。2曲目にショスタコーヴィチの交響曲第10番が組まれているので、わたしのモードがショスタコーヴィチ・モー…
藤岡幸夫指揮東京シティ・フィルの定期演奏会。プログラムは今年生誕150年のヴォーン・ウィリアムズの2曲にドビュッシーの2曲を組み合わせたもの。ヴォーン・ウィリアムズは藤岡幸夫の得意のレパートリーだ。 1曲目はそのヴォーン・ウィリアムズの「トマス・…
もう一ヶ月ほど前になるが、小諸市立小山敬三美術館を訪れた。といっても、じつは懐古園を訪れた際に、その隣に同美術館があったので、ついでに立ち寄った次第だ。小山敬三という名前にはピンとこなかったが、館内に入って作品を見たときに、ああ、この画家…
わたしは演劇も好きだが、コロナ禍もあって(それ以上に、出不精になっているからだが)しばらくご無沙汰していた。そんなわたしだが、昨晩は久しぶりに新国立劇場の「私の一ヶ月」に出かけた。演劇の空間が懐かしかった。 須貝英の作、稲葉賀恵の演出。プロ…
東京シティ・フィルの定期演奏会に鈴木秀美が客演した。4年ぶりだそうだ。曲目にはハイドンが2曲ふくまれている。ハイドンを聴くのは久しぶりだ。楽しみにしていた。 1曲目はハイドンの交響曲第12番ホ長調。レアな曲だ。1763年、ハイドン31歳の年の作品だ。…
カンブルランが読響に帰ってきた。3年半ぶりだそうだ。軽い身のこなしは変わっていない。1曲目はドビュッシーの「遊戯」。音の透明感、色彩感、陰影の変化、敏捷さ、洒脱さなど、3年半のブランクを感じさせない。カンブルランはもちろんだが、ブランクをもの…
ノット指揮東京交響楽団の定期演奏会。1曲目はシェーンベルクの「5つの管弦楽曲」。シェーンベルクが12音技法に達する前の無調の時代の作品だ。わたしは結局シェーンベルクではこの時代の作品が一番好きだ。なぜだろう。それを考えながら聴いた。そのとき思…
ブロムシュテット指揮N響のCプロ。曲目はシューベルトの交響曲第1番と第6番だ。N響のCプロはショート・プログラムになったので、わたしはCプロの定期会員をやめたが、今回は1回券を買って出かけた。 先日のAプロのマーラーの交響曲第9番が異常な緊張に包まれ…
日本フィル首席指揮者としてのインキネンの最終シーズンが始まった。今回はベートーヴェンの交響曲第8番と第7番。あとは来年4月の東京定期でのシベリウスの「クレルヴォ交響曲」と5月の横浜定期でのシベリウスの交響詩「タピオラ」とベートーヴェンの交響曲…
95歳のブロムシュテットが予定通りN響を指揮した。それだけでも驚異的だが、おまけに曲目がマーラーの交響曲第9番だ。やはり平常心では聴けなかった。第1楽章の冒頭、弦楽器の音色がやわらかい。まるで羽毛で撫でるようだ。それが一気に緊張をはらみ、衝撃的…
ジョナサン・ノット指揮東響の定期演奏会。じつはこの演奏会を聴きたくて今シーズンから定期会員になった。お目当てはショスタコーヴィチの交響曲第4番だ。プログラムはまずラヴェルの「道化師の朝の歌」から。もちろん良い演奏だったが、ノット東響ならこれ…
新国立劇場の「ジュリオ・チェーザレ」の最終日を観た。同劇場の記念すべきバロック・オペラ第一弾(昨シーズンの「オルフェオとエウリディーチェ」をバロック・オペラにふくめるなら、むしろヘンデル・オペラ第一弾といったほうがいいか)だと思った。 まず…
昨日「浜辺のアインシュタイン」の感想を書いたが、舌足らずな点があったので、補足したい。 まず“レジーテアター”との関連のことだが、そもそも“レジーテアター”は日本語でどう訳されているのだろう。インターネットで検索したが、いまひとつはっきりしない…
フィリップ・グラス(1937‐)のオペラ(オペラといっていいのかどうか。ともかく型破りな作品だ)「浜辺のアインシュタイン」は、一生観る機会がないのではないかと思っていた。1992年に東京公演があったそうだが、そのころは仕事が忙しくて、公演があること…
先日、下野竜也指揮都響の演奏会を聴き、その感想を書いたが、当日は演奏会の前に友人と会っていた。友人と別れてから演奏会まで、しばらく時間があったので、国立西洋美術館で常設展を観た。いつもは企画展を見た後で慌ただしく観る常設展だが、今回は時間…
今年は別宮貞雄(1922‐2012)の生誕100年、没後10年の記念年だ。そこで都響が定期演奏会でオール別宮貞雄プロを組んだ。曲目はヴァイオリン協奏曲(1969)、ヴィオラ協奏曲(1971)とチェロ協奏曲(1997/2001)。指揮は下野竜也。 いまわたしは3曲を作曲順…
ヴァイグレ指揮読響の日曜マチネーコンサート。1曲目はグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲。演奏会のオープニングによく演奏される曲だが、そんなときによく聴くパッと派手に盛り上げる演奏ではなくて(あるいは最短記録を競うような猛スピードの演奏で…
ヴァイグレ指揮読響の定期演奏会。メインの曲目はブラームスの「ドイツ・レクイエム」だが、その前にダニエル・シュニーダーの「聖ヨハネの黙示録」が演奏された。 ダニエル・シュニーダーDaniel Schnyder(1961‐)はチューリヒ生まれで、現在はニューヨーク…
東京交響楽団の定期演奏会にアジス・ショハキモフAziz Shokhakimovという指揮者が初登場した。ウズベキスタン出身だ。プロフィールに年齢の記載はないが、動作が若々しいので、30代か40代だろう。現在フランスのストラスブール・フィルの音楽監督とテクフェ…